テトのビール、「飲む」のはベトナム産

ホーチミン市1区、3区のスーパーやビール販売店で、ビール販売棚が賑わい始めた。店頭には、ベルギー、ドイツ、メキシコ、タイ産など、瓶に缶に、赤、金、緑、背の高いもの、低いものと様々な商品が並ぶ。

 輸入品は値が張るものが多く、同じ容量で国産ビールの3~4倍するものもある。ベルギー産Chimayは1本9万5,000~28万ドン(約 4.8~14ドル)、イギリス、ベルギー産の陶器ボトルは250mlで25万ドン(約13ドル)程度、一方で、DAB、Bitburger、 Bermaniaなどのドイツ産は330mlまたは500ml缶で2万2,500~3万1,500ドン(約1.1~1.6ドル)といったものもある。

 Tan Binh区のビール販売業者によると、輸入ビールは値段が高いため、どこの販売店でも扱うわけでなく、スーパーか市中心部の一部店舗に限られる。

 市場には数多のビールブランドがあるが、実際には好みの問題から、一定の商品に人気が偏っている。嗜好は地域性もあり、全国の年間ビール生産量 29億~30億リットルの40%はSai Gonビール・酒・清涼飲料総公社(Sabeco)の「333」「Sai Gon緑ラベル」「Sai Gon赤ラベル」が占め、中部以南で非常に強い。

 2013年の販売量13億2,000万リットルを見込むSabecoのPhan Dang Tuat会長によると、生産量の90%は現在、中所得以下の層向けの「333」と「Sai Gon赤ラベル」に集中している。「輸入品との競争に心配はしていない。価格、品質から、特に現在のような支出を控える傾向があるなかで、私たちの商品は しっかり立場を確保している」と言う。

 3区の食料品店によると、ビール購入客が10人いれば、6人は「333」を選ぶ。安い時で1ケース20万ドン(約10ドル)、高い時でも22万ドン(約11ドル)程度と、労働者の懐に合っているからだ。

 ある外資系市場調査会社のスタッフによると、ベトナム人は嗜好として、試用を勧められれば、新しい商品に非常にオープンだが、実際に購入すると なると、潜在意識に深く入り込んだブランドしか選ばない。Foster’sやZorokなどホーチミン市場から消えた銘柄からも分かるように、どの外国 ビールブランドもベトナムで簡単に立ち位置を見つけられるわけではないということだ。

 これが、この2年ほど、祝祭日などに豪華な外見もあり贈物用として熱烈に支持されてきた日本のSapporoが、今年はもはや“ホット”な商品でなくなってしまった理由でもある。

(Tuoi Tre)

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